放射線治療後にがんが再発するメカニズムの一端が解明された。
がんは、がん細胞の周囲の血管から酸素の供給を受けることで増殖する。がんが放射線治療後も死なずに再び増殖してしまうのは、血管から少し離れた低酸素環境でも生存できる特定のがん細胞が原因であると断定された。
この特殊な がん細胞は、血管の周囲のがん細胞が放射線で死滅すると、遺伝子が活性化することで血管の方向へ移動することが観察されたのだ。実験では、治療前のがんには17%しか存在しなかった特定がん細胞が、がんの再発時には60%にまで増えていた。この特定がん細胞を阻害剤で移動抑止すると がんは再発しなかったのである。
将来的な新治療法として、この「低酸素がん細胞」に放射線を集中照射する方法などが検討されており、がん再発の防止は実現にまた一歩近づいた。
がん再発メカニズムは、京都大大学院の原田浩講師らの研究グループが解明し、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。