2012年7月31日火曜日

乳がんと肺がんを起こす遺伝子変異を特定

がん進行の要因となる遺伝子変異を特定する方法が世界で初めて発見された。

研究は初期段階なものだが、がん細胞が特定の遺伝子が結びついた時に変異の加速が起こり、 がん症状が悪化することが確認されたのだ。

がんの進行を早める変異をもたらす「がんの協力遺伝子」が特定されただけでなく、さらには、乳がん肺がんを起こす変異に関して、サイトカインシグナル抑制因子(SOCS)を新たに発見した。これまでSOCSをがんと関連付けた研究報告はなく、画期的な成果と位置づけられている。

これらの遺伝子変異を利用すれば、 がんへの変異を特定するためのコスト低減が可能となり、関連した抗がん剤新薬の開発も期待されている。

発見したのはシンガポール科学技術研究庁傘下の分子細胞生物学研究所で、研究論文が米国の「ジーンズ・アンド・ディベロップメント」に掲載される。

効かなくなった抗がん剤の再活性化

効果が薄くなったり、効かなくなった抗がん剤や抗生物質などの再活性化が可能となる発見がなされた。

土中の微生物が生成する抗生物質「ストレプトスリシン」のメカニズムを解明したことで、この仕組みを応用し、抗生物質の効能を保持しつつ人体などへの毒性を緩和するアミノ酸化合物(ペプチド)の合成に成功したのだ。

現在、約2万種類の抗生物質や抗がん剤、免疫抑制剤が生産されているが、実用化されているものはわずか1%。残りの99%は毒性が強いなどの理由で、実用化されていない。

合成に成功したペプチドは、「病原菌に付着し易く、細胞膜を透過し易い」という特徴がある。この性質を利用して、効かなくなった抗がん剤に酵素を用いてペプチドを付加することで、再活性化を図ることも可能となるのだ。

さらに、今回発見されたペプチドを既存の抗生物質に付加することで、 新薬の発見につながり、抗がん剤の新薬開発にも貢献する見込み。

解明したのは、福井県立大の研究チーム。研究論文は、科学誌「Nature Chemical Biology」に掲載された。

2012年7月30日月曜日

抗がん剤が効かなくなる「抗がん剤耐性」とは?

がん患者に抗がん剤が効かなくなる仕組みが解明された。

抗がん剤が効かなくなる仕組みに関与するたんぱく質を特定することに成功したのだ。

特定された抗がん剤耐性のたんぱく質は、「TIM-3」。「TIM-3」は、がん細胞の周辺にある樹状細胞がつくる呼ぶたんぱく質。 TIM-3によって抗がん剤の活性を補完する自然免疫が抑制されてしまい、結果として、がん組織が抗がん剤への耐性を獲得してしまうことが解明されたのだ。

通常はがんを抑制する役割を持つ樹状細胞が、 がん細胞が近くにある場合には、がんの治療を邪魔してしまう可能性もあることが示されたと言える。

抗がん剤を使用しているうちにがん細胞の増殖を抑える効果が薄れてしまう現象を「抗がん剤耐性」と呼ぶが、抗がん剤耐性はがん治療の妨げとなる。しかし、特定されたたんぱく質TIM-3の働きを阻害できれば、 抗がん剤による治療効果が改善される。既に、マウスの実験によって、TIM-3の働きを阻害で、抗がん剤による治療効果が改善できることが確認されており、新しいがん治療=抗がん剤新薬の開発へ大きな足掛かりが得られた。

研究は、北海道大学遺伝子病制御研究所のグループが実施し、成果が米科学誌ネイチャー・イミュノロジーに掲載された。

2012年7月27日金曜日

肺がん新薬の治験が最終段階へ

肺がん治療の抗癌剤新薬の治験が新たに開始された。

治験が開始されるのは、武田薬品工業と米子会社ミレニアム・ファーマシューティカルズが開発中の抗がん剤「AMG706(一般名:モテサニブ)」。治験の対象とするがんは、「進行非扁平上皮非小細胞肺がん」で、最終段階である第3相(P3)試験をアジア共同臨床として、今月7月から開始した。

新薬治験の実施主体は、武田薬品の国内子会社である武田バイオ開発センターで、日本だけでなく、香港、韓国、台湾の4つの国と地域のがん患者を対象として実施されている。

新薬の承認申請の時期などは、まだ「検討中」とされているが、 肺がん患者には治験の好結果と早期の販売開始が待たれる。

2012年7月26日木曜日

抗がん剤新薬が続々と発売予定

日本での抗がん剤発売を欧米とほぼ同時にする取組みが拡がっている。

米ファイザーは肺がん用など5種類、スイス・ノバルティスは2種類を数年内に売り出す。日本では臨床試験(治験)に時間がかかり発売が海外よりも新薬の投入が3年近く遅れることが多く、海外で販売中の新薬を日本で使えない「ドラッグラグ」が社会問題になっていた。

そのため、厚生労働省が治験期間の短縮へ体制を見直す一方で、高齢化でがん患者の増加が見込めると判断した外資の製薬各社が、日米欧でがん新薬の治験を同時並行することで、日本での発売を早める方策を開始したのだ。

これまで日本での治験は、大規模な医療機関でしか実施できず、新薬の審査人員も不足していた。しかし、ドラッグ・ラグの解消要請を受けて、地方病院でも治験ができるようにするなど厚労省も改善を進めた。

外資の製薬大手各社が日本での治験を後回しとしてきたが、今後は日本での治験が早まることで抗がん剤新薬の発売も早まっていく見通しだ。

ファイザーは5年以内に腎細胞がん、白血病、肺がん、リンパ腫、乳がんに対する抗がん剤を日本で発売。それぞれの新薬は、欧米と日本を並行して進めた治験がほぼ後期の段階に入っており、厚労省の承認を得た後に、欧米と日本で同時期に発売される。

また、ノバルティスは2013~14年に血液がん「骨髄線維症」向けなど2種類の抗がん剤を発売する。新薬の治験は中期~後期の段階。

さらにスイス・ロシュからは、数年内に2つの乳がん治療新薬が、英グラクソスミスクラインからは筋肉に発生するがん治療薬などが発売さえる。全て、発売時期は欧米と大きな差が出ないとのこと。

世界最速で進む超高齢化の日本の抗がん剤市場は、 2019年には2010年対比で73%増の1兆1771億円に達する。高まる医療費は社会問題化している一方で、使えるがん新薬が早期に増えることは、がん患者と家族、関係者にとっては朗報と言える。願わくは、拙速な治験・承認で副作用等の薬害問題が発生しないことが望まれる。

2012年7月25日水曜日

がん遺伝子の修復機能を解明

細胞のがん化の原因になる損傷した遺伝子(DNA)の修復機能が解明された。

酸化や紫外線、放射能などの刺激が原因で、細胞が損傷を受けてDNAの構造が壊れた状態は「DNA鎖間架橋」と呼ばれ、細胞ががん化する原因となる。

通常は修復機能が働き、がん化を抑制しているが、損傷したDNAが正常に修復されないことで細胞が がん化してしまうのだ。

しかし、がん化抑制に重要な役割を果たす遺伝子の機能が解明された。

この成果によって、 がんをはじめとするDNAの修復異常が引き起こす病気への新たな治療法や抗がん剤新薬の開発が予見され、さらに発がんの基礎的なメカニズムが解明に貢献すると期待されている。

「がん抑制遺伝子」は早稲田大学理工学術院の研究グループが解明した。

2012年7月24日火曜日

リンパ腫治療に新薬が承認

悪性リンパ腫治療薬の新薬「ADCETRIS(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)」が、欧州医薬品庁から条件付ながらも販売承認を推奨する見解を取得した。

ADCETRISは、古典的ホジキンリンパ腫と全身性未分化大細胞リンパ腫を治療対象としており、それぞれのリンパ腫に発現するCD30抗原を標的とした抗体薬物複合体だ。今回、条件付き販売承認を推奨された効能・効果は、下記の2点。
(1)自己幹細胞移植後、または、自己幹細胞移植や多剤併用化学療法が適さず少なくとも2種類以上の治療を実施した、成人の再発・難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫
(2)成人の再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫

再発・難治性のホジキンリンパ腫の治療においては30年以上にわたって新薬が承認されておらず、新薬が待望されていた。 ADCETRISは再発・難治性のホジキンリンパ腫および全身性未分化大細胞リンパ腫の治療に貢献すると期待されている。

「 条件付き販売承認」とは、生命を脅かす病気に対して有望と考えられる薬剤を、患者さんへのベネフィットが正式に証明される前であっても、予備的証拠に基づき承認し販売可能とするEMAの制度である。

今後、新薬「ADCETRIS(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)」は、欧州委員会(EC)で審議され、正式な承認を取得した後、まずは欧州27カ国で販売可能される予定。

2012年7月20日金曜日

がん細胞を激減させる脳腫瘍の抗がん剤新薬

悪性脳腫瘍「グリオブラストーマ」の再発を抑える効果の抗がん剤新薬が、マウス実験で発見された。

脳腫瘍の中でも「グリオブラストーマ」は治療が困難とされており、外科手術、放射線治療や抗がん剤で初期治療が成功しても、がんが再発する場合が多いことが問題だった。

しかし、腫瘍を作り出すがん幹細胞の維持に必要な分子に着目し、この分子の機能を抑える効果のある薬剤をマウスと投与したところがんが抑制されたのだ。

実験では、腫瘍を脳に移植したマウスに対して、この抗がん剤新薬を5日間投与した。すると、腫瘍の中のがん幹細胞は10分の1以下に大幅に減少した。さらに、がん幹細胞を脳に移植したマウスでは、10日間の薬剤投与によって、 がん幹細胞を10分の1~100分の1以上に激減させる効果があったのだ。しかも、脳の機能には影響が無く、生存期間も延長することができた。

脳腫瘍の抗がん剤新薬は、山形大と国立がん研究センターの研究チームが開発し、今後は治験への期待が高まっている。

研究論文は、英科学誌サイエンティフィック・リポーツへ発表された。

2012年7月19日木曜日

再発乳がんの抗がん剤新薬が最終段階へ

卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん治療用の抗がん剤新薬「NK105」が、転移・再発乳がんを対象に実用化の最終段階である第III相比較臨床試験を開始した。

既存の卵巣がんや非小細胞肺がん、乳がん、胃がんの治療向け抗がん剤 「パクリタキセル」が世界的に普及しているが、抗がん剤自体の副作用だけでなく、製剤化の際に使うアルコールを基にした特殊な溶媒が原因の副作用も生じる欠点があった。

新開発の抗がん剤新薬「NK105」は、「パクリタキセル」を高分子ポリマーのカプセルに封入したミセル化ナノ粒子製剤であるため、課題であった副作用が大幅に軽減できる特徴がある。

乳がん向けの新薬として承認後は、卵巣がん、肺がん、胃がんへの新薬申請・承認も順次に実施される見込みだ。

2012年7月18日水曜日

肺腺がん遺伝子を新たに発見

肺がん患者の大部分を締める肺腺がんの発症に関わる2種類の遺伝子が新たに発見された。過去の調査でも2種類の肺腺がん発症遺伝子が発見されており、今回で発見された肺腺がん遺伝子は合計4種類となった。

発見したのは、国立がん研究センターと理化学研究所のグループ。約2万人を対象としたゲノム(全遺伝情報)解析で導き出した。

ゲノム解析の実施対象となったのは、日本人の肺腺がん患者6029人と発症していない1万3535人。その結果、すでに発見されている2遺伝子以外にも、「BPTF」と「BTNL2」という遺伝子領域で肺腺がん患者に特徴的な塩基配列が見つかったのだ。 BPTFは細胞のDNAの複写機構に、BTNL2は免疫の制御機構に関わる遺伝子として知られている。

肺がんの一種である肺腺がんの発症には、喫煙以外に遺伝的な要因が深く関与しているとされており、肺腺がんの原因解明へ期待が大きかった。 がんの原因となる遺伝子が特定されたことで、遺伝子標的薬の開発が進展し、肺腺がん特効薬が開発される可能性が高まってくるだろう。

副作用の少ない抗がん剤の開発に大きな前進

がん細胞だけに効く、副作用の少ない薬の開発に大きな前進となる物質が開発された。

開発されたのは、「CPP44」というペプチド。これまでのペプチドは、がんも正常細胞も関係なく染み込む性質だったが、 CPP44は、肝臓がんと白血病のがん細胞には大量に吸収されるが、それ以外の細胞にはほとんど吸収されない性質を持つ。このような性質のペプチドが人工的に作られたのは世界で初めてなのだ。

さらにこのCPP44ペプチドは 他のがんの増殖を抑える物質を組み合わせて投与することで、腫瘍の大きさが半分以下になるマウス実験の成果を得ている。

抗がん剤の開発では副作用が大きな問題だったが、このペプチドを使うことでがん細胞にだけ効果がある新しい治療法が飛躍的に前進する可能性が高い。

副作用の少ない新しい抗がん剤が続々と開発される日は近いだろう。

世界初のがん細胞だけに効くペプチドを開発したのは、愛知県がんセンター研究所と琉球大の研究グループ。研究成果は、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズへ発表された。

2012年7月17日火曜日

新治療法によるがん増殖の抑制に成功

がん患者の体内に活性酸素を過剰に蓄積させて、がん細胞の増殖を抑制する新しいがん治療法が開発された。

新しいがん治療法として注目されているのは、活性酸素の毒性を逆手に取り、目的の部位だけに活性酸素を蓄積させることでがん細胞の増殖を防ぐ治療法。

通常では、活性酸素の蓄積は細胞の老化などを引き起こすため、体内には活性酸素を取り除く仕組みがある。一方で、がんの増殖にはがん細胞へ栄養を供給する新生血管が関与していることが知られている。この新生血管では活性酸素を消去する役割を果たす「毛細血管拡張性肉芽腫変異(Atm)遺伝子」が活発に働いていることを発見したのだ。そして、Atm遺伝子の活性化を阻害すれば、新生血管に活性酸素を蓄積させ、がん細胞への栄養を遮断するがん増殖抑制法とできる。

新治療法では、がん細胞に酸素や栄養を供給する新たな血管網(新生血管)を維持できないよう遺伝子操作した。既にマウス実験では 新治療法によるがん増殖の抑制に成功している。

新治療法を開発したのは、慶応大医学部で、米科学誌ネイチャー・メディシンへ発表した。

この研究チームは遺伝子操作と同じ効果がある化合物の開発に取り組んでおり、成功すればがん組織だけ退治する副作用の少ない新薬ができると期待されている。

2012年7月13日金曜日

血液1滴の代謝物質解析で早期大腸がんを発見

1滴の血液から早期の大腸がんをも発見する新手法が開発された。

大腸がんは食事の欧米化などが原因で増加傾向であり、国内では年間約4万5千人(2010年)が死亡。肺がん、胃がんに続いて、日本人のがんによる死因の3位となっている。

しかし、早期の大腸がんは治療できる可能性が高いものの自覚症状が無く、既存の検査法では便を採取して血液の有無を調べたり、がんが出す血中のタンパク質を調べたりしていたが、いずれもがん発見の精度は低いものだった。

新開発された新手法では、「メタボロミクス」と呼ばれる代謝物質の解析法によって、大腸がん患者の血液中に多いアスパラギン酸など4種類を数式化して判定する。従来の方法では診断が難しかった早期の大腸がんでも見分けられるため、大腸がんの早期発見早期治療が実現できる可能性が高い。

検証実験では、大腸がん患者60人と健康な60人とを比べ、アミノ酸の一種「アスパラギン酸」など4種類の物質について、いずれもがん患者の方が平均2~3倍多いことを発見した。

さらに、別の大腸がん患者と健康な人のそれぞれ約60人で検証すると、従来のがん指標となるタンパク質では早期がんの1割程度しか診断できなかったが、4種類の物質を使った診断法では8割以上が診断できたのだ。非常に高い検査精度だと言える。

今後は発見された4種類の物資を使ってさらに簡単に診断できる機器の製造・実用化が予定されており、その後には、胃がんや膵臓がんなどの早期診断法の開発が期待されている。

神戸大大学院医学研究科のグループが開発に成功し米科学誌プロスワンに発表した。

すい臓がん へ抗がん剤を効率よく届ける新治療法

治療が難しい膵臓(すいぞう)がんの患部に抗がん剤を効率よく届かせる新治療法が開発された。

新治療法では、フコースという糖を利用することで、抗がん剤を健康な細胞ではなく、がん細胞を狙って届ける。 膵臓がんの細胞がフコースを活発に取り込むことに着目したのだ。フコースを抗がん剤を包むリポソームという脂質膜に結合させて、がん細胞へ効果的に薬を運ぶことに成功した。

開発したグループによると、新治療法では抗がん剤の薬の量や副作用を大幅に減らせる。既にマウスを使った実験で効果が検証されたため、今後は臨床試験を進める予定。さらに、胃がんや大腸がん、胆道がんなどの抗がん剤治療にも応用が可能で期待は高まっている。

この膵臓がんの新治療法を開発したのは、札幌医科大の研究グループ。 膵臓がんは初期には自覚症状がなく、転移しやすい難治性のがんであり、国内の推計死者数は年間約2万2千人を超えており、抗がん剤新薬、新治療法のニーズが高い。

研究成果は、米オンライン科学誌プロスワンへ発表された。

2012年7月12日木曜日

がん転移に大きな役割を果たす酵素を特定

がん細胞の転移に大きな役割を果たす酵素が特定された。

発見・特定された酵素は、「ADAM28」。 ADAM28は肺がん中の細胞などで強く働いている酵素で、 ADAM28が血液中のVWFという分子を分解する。その結果、がん細胞はこのVWF分子が引き起こすはずの細胞死を免れ、自然死(アポトーシス)しないことが確認された。 がん細胞は通常、血管に入るとほとんどが死滅するが、一部のがん細胞が生き残ってしまうことが原因となって、他の臓器にがん転移していた。

マウスによる実証実験では、酵素ADAM28の働きを阻害すると、がんの転移を抑制できることが確認できた。この発見から、がんの増殖/転移を抑制できる有望な抗がん剤の開発が期待される。

当該研究の成果は、慶応大医学部の研究チームが米国立がん研究所雑誌へ発表した。

2012年7月11日水曜日

救済対象外の抗がん剤の副作用被害

抗がん剤の副作用被害に対する公的な救済制度の創設が先送りとなる可能性が高まっている。

抗がん剤の副作用被害救済制度」は、抗がん剤イレッサの副作用で被害を受けた患者遺族の訴訟を通じて、患者側から要望され、かつ、裁判所の和解勧告を拒んだ際に国が制度創設の検討を表明していた。

抗がん剤以外の医薬品に対しては、薬害・副作用で重い障害を負ったり死亡したりした場合に、医療費などが支払われる公的な制度があるが、 抗がん剤は対象外であったために、別の救済制度の創設が強く要望されていたものだ。

しかし、重い副作用が高い確率で起きることを前提として投与する抗がん剤に対して、制度の創設は難題が多く指摘された。「制度設計を急ぐと、かえってがん医療を委縮させてしまう」という慎重論は、国と製薬会社側の論理であり、とてもがん患者側の心情を汲んだものではない。

最低限でも「継続検討」として、早期の制度創設が期待される。

2012年7月10日火曜日

がん増殖の原因物質を新発見

がん細胞の増殖を促しているたんぱく質が発見された。

発見された たんぱく質は「NRF2」。 NRF2は、動物の細胞をストレスから守る働きをするが、がん細胞内では糖やアミノ酸の代謝を変化させることで、がんの増殖を促しているのだ。

発見したのは、東北大学大学院医学系研究科のグループ。

研究では、肺がん細胞内のDNAを解析することで、NRF2が糖類のグルコースやアミノ酸の一種であるグルタミンの代謝に影響を与え、代謝の過程を変化させることで、がん細胞を増殖させることを突き止めたのだ。

マウスにがん細胞を注射し、NRF2を減らす試薬を投与したところ、 がん細胞の増大が、何も投与しないマウスと比較して 3分の1程度に抑制された。

NRF2ががん細胞の防御力を高め、抗がん剤や放射線照射への抵抗性をもたらすことは知られていたが、 がん細胞の増殖そのものに関係していることが明らかになったのは新発見だという。

がん細胞の増殖や悪性化の一因となる代謝の仕組みが解明されたことで、 新たながん治療法と新薬の開発に繋がる期待される。

また、がん治療だけでなく、逆にNRF2を活性化させることで再生医療に応用できる可能性も検討されている。

研究論文は米医学誌キャンサー・セルに掲載された。

2012年7月5日木曜日

コーヒーが皮膚がん予防に効果的

コーヒーに含まれるカフェインが皮膚がんの予防に効果的であるとの研究報告が発表された。

20 年間以上に渡る男女 112,897 人を対象とした経過観察によって、一日に 2 杯以上のコーヒーを飲んでいる人はそうでない人に比べて、基底細胞ガンを発症する確率が 20 % も低いことが分かったのだ。また、コーラやチョコレート、紅茶などの飲料及び食品に関しても、カフェインが含まれれば同様のがん予防効果が期待できるが、カフェイン成分を含まないカフェインレスコーヒー(デカフェコーヒー)には がん予防の効果は無い。

紫外線が原因で皮膚細胞のDNAが損傷を受けると皮膚がんを発症しやすくなるのだが、カフェインには、損傷を受けてがん化した皮膚細胞を殺す作用効果があると推察されている。

ハーバード大の Jiali Han 准教授らが研究成果を発表した。

2012年7月4日水曜日

コーラの発がん性物質量は国で違う

広く普及している炭酸飲料であるコカコーラに発ガン性物質が含まれていることが指摘された。

コカコーラに含まれている発ガン性物質は、4-メチルイミダゾール(4-MI)。この物質は、コカ・コーラのカラメル色素を製造する工程で砂糖,アンモニア,亜硫酸塩が高圧・高温となった化学反応で生成される化学物質である。

発ガン性物質4-MIの含有量は、コカ・コーラが販売される国で異なり、日本のコカコーラは、355ml換算で72マイクログラムだが、米国カリフォルニア州で販売されているコカコーラは4マイクログラムと、約18倍もの差がある。最も汚染されていたコカ・コーラは、ブラジルで販売されていた。

米国カリフォルニア州で販売されるコカコーラの4M-1が最も少ない理由は、米国カリフォルニア州には4-MIを含む食品の規制があるため、規制対応で発ガン性物質の量を抑えた製品となっている。

ただし、コカコーラの本当の問題点は、この発ガン性物質よりも、大きな健康リスクを伴う大量の糖分だ。これは、コカコーラだけでなく糖分を多く含む清涼飲料水の全てに共通する課題であり、清涼飲料水の飲み過ぎに警告が発生られている。

コカ・コーラが含む発がん性物質に関しては、アメリカの公益科学センター(CSPI Center for Science in the Public Interest)が発表した。

2012年7月2日月曜日

肝がん新薬ペプチドワクチンの治験

肝細胞がん新薬となるペプチドワクチン「ONO-7268MX1」が、第I相臨床試験の治験を開始する。

肝細胞がんは、日本での原発性肝臓がんの90%以上を占める。この肝臓がんで死亡する日本人は年間約3万人と多く、治療としては、手術による肝切除、ラジオ波焼灼療法や経皮的エタノール注入療法などの手術療法が中心。さらに化学療法や放射線療法での治療も試行されているが、効果は思わしくない。 肝臓がん、肝細胞がんの新たな治療法、新薬が待望されている。

治験が開始される肝臓がん新薬は、既存の標準療法に対して不応あるいは不耐の肝細胞がん患者を対象としている。

新薬の効能は、 肝細胞がんに特異的な免疫細胞である細胞傷害性T細胞を誘導することで、 がん細胞を叩き、抗腫瘍効果を発揮する。

臨床試験では新薬「ONO-7268MX1」の安全性と免疫反応も検証される。