2012年8月29日水曜日

胆道がんに新しい治療法

難治性胆道がんの治療に新薬「WT1ペプチドワクチン」の使用が、承認された。

標準治療に上乗せした臨床試験として、さらに、「中間評価の実施」が条件となっているが、高度医療として承認されたことで、胆道がん治療に新しい選択肢が増えた。

未承認の抗がん剤新薬「WT1ペプチドワクチン」を用いた新治療法は、継続審議扱いだったが、難治性胆道がんは既存の治療方法が少ないために事前評価が支持された。

新薬承認は、国立がん研究センター中央病院が申請した「切除不能・再発胆道がんを対象としたゲムシタビン +シスプラチン(CDDP)+WT1ペプチドワクチン併用化学免疫療法とゲムシタビン +CDDP治療の第1/2相試験(高度医療は第2相パートについて申請)」に基づく、治験であるため、今後の効果効能と副作用に関する中間評価が注目される。

厚生労働省 高度医療評価会議が24日に条件付きで承認した。

2012年8月28日火曜日

カフェインが皮膚がんリスク低減

米国のハーバード大学医学部が、皮膚がんの基底細胞がんのリスクが低下させる食品として、カフェインを含んでいるコーヒー、紅茶やコーラ、チョコレートが有効であることを確認した。

皮膚がんには扁平上皮がん、メラノーマ(悪性黒色腫)などがあるが、最も発生頻度が高いのが基底細胞がん である。基底細胞がんは、頭や顔に発生することが多く、リンパ節や内臓に転移する可能性は低いものの、多くの患者が"ほくろ"と勘違いしてしまい、皮膚だけでなく筋肉や骨などの深い組織へと浸潤してしまう。

皮膚がんに対するカフェインの抗がん効果は、動物実験で扁平上皮がんの発症を予防することが示唆されてきた。

今回の実験では、米国の医療従事者を対象とした2つの研究のデータを使い、カフェイン摂取と皮膚がんリスクとの関係を検討したのだ。対象者のうち、基底細胞がんを発症したのは2万2,786人、扁平上皮がんが1,953人、メラノーマが741人だった。その結果、カフェインを取る量が増えるほど基底細胞がんのリスクが減ることが確認できたのだ。

カフェイン摂取量で5つに分けたうちの最もがんリスクが高いグループは、最も低いグループに比べて女性で18%、男性で13%の違いがあった。

カフェイン入りコーヒー摂取が月1杯未満の人たちと比べ、 1日3杯以上飲む人たちの基底細胞がんリスクは女性が21%減、男性が10%減。この抗がん効果は、コーヒーだけでなく紅茶、コーラ、チョコレートからのカフェイン摂取でも同様の効果がある。当然ながら、カフェインレスコーヒーには効果は無い。また、カフェインの抗がん効果は、扁平上皮がんやメラノーマに対しては、関連性が確認されなかった。

研究成果は、米医学誌「Cancer Research」へ発表された。

2012年8月22日水曜日

肝臓がん、腎細胞がんの治療効果を高める

1日230g程度のグレープフルーツジュースを摂取すると、抗がん剤の効果を高められることが判った。グレープフルーツに含まれている「P450酵素」の働きで、抗がん剤が体内で分解されるスピードを遅らせ、効果が持続できるのだ。そのため、同量の抗がん剤でも効果が高く、抗がん剤の投与量が削減できる可能性があることから、がん患者の副作用も軽減でき、それは治療費を低減できることに繋がる。

シカゴ医学大学の研究者が実施した実験では、既に有効な治療法が無いレベルまで進行しているがん患者=末期がん患者138人を対象として、3つのグループに分け、

  1. 抗がん剤シロリムスとグレープフルーツジュース
  2. シロリムスと薬物代謝を遅らせるケトコナゾール
  3. シロリムスのみ

を投与した。

実験の結果は、グレープフルーツジュースには、腸内酵素を阻害することで、抗がん剤シロリムスなどいくつかの薬が分解されるまでの時間を遅らせる効果が確認されたのだ。効果は数時間程度発揮され始め、数日間連続することも判った。

シロリムスは、元来は臓器移植の拒絶反応を防ぐ免疫抑制剤として開発されたが、 進行肝癌、腎細胞癌の治療に効果が期待されている。

また、グレープフルーツジュースを治療に利用する最大の利点は、過剰摂取のリスクがなく、毒性もないということにある。

2012年8月9日木曜日

乳がん、腎臓がんに新治療法を発見

乳がんと腎臓がんに新治療法が発見された。

乳がんと腎臓がんの治療に既存の抗がん剤である「デシタビン」と「ロミデプシン」を併用投与することで期待できることを発表した。

「デシタビン」はDNAメチル化阻害剤のひとつ、「ロミデプシン」はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のひとつで、血液がん治療剤としてはすでにFDAの承認を受けている。

研究では、「デシタビン」と「ロミデプシン」の単独使用ではがん細胞は死なないが、2剤を併用することでがん細胞の増殖を止め、がん抑制遺伝子が活性化されることが発見されたのだ。

がん抑制遺伝子とは、がんの発生を抑制する機能を持つタンパク質をコードする遺伝子。がん抑制遺伝子に欠失、点変異などの変化により機能障害が生じた場合には、直接的に腫瘍化の原因となってしまう遺伝子なのだ。

併用での実験では、トリプルネガティブ乳がんおよび腎臓がん細胞の異なる細胞株を全て死滅させる「sFRP1遺伝子」を活性化させるという結果が得られたという。

このがん新治療法だけでなく、 sFRP1遺伝子のほかのがん治療への応用に関しても研究は勧められる予定で、 sFRP1遺伝子を利用した治療法が確立すれば、がん治療は飛躍的に前進する可能性が高い。

世界中から新しいがん治療法に期待が高まっている。研究は、米国ロチェスター市の総合病院メイヨークリニック(Mayo Clinic)で実施されている。

2012年8月7日火曜日

がん予防に効果のある食品と抗酸化成分「DDC」

青ジソに老化やがんの発生などを予防する成分が含まれていることが判った。

健康な人間の体内では活性酸素が過剰にならないよう、抗酸化酵素やビタミンなどの働きでバランスが取られている。しかし、このバランスが一旦崩れると「酸化ストレス状態」となることで、細胞が傷つけられて老化やがん、動脈硬化などの原因となっている。

今回の研究では、果物や野菜などの12種類の成分を詳細に調査した結果、青ジソには抗酸化成分「DDC」が含まれていることが判ったのだ。抗酸化成分「DDC」をラットの細胞に加えると、抗酸化酵素が増加することが確認された。

抗酸化成分「DDC」の抗がん効果はまだまだ検証する必要があるが、 抗がんサプリメントや がん予防薬開発につながる可能性がある と期待が高まっている。

青じそ内の抗酸化成分「DDC」を発見したのは、京都大大学院薬学研究科の研究グループ。

2012年8月6日月曜日

がん細胞の成長過程から画期的な発見

がん再発の原因となる細胞が特定された。以前から仮設で指摘されてきた「がん幹細胞」の存在を裏付けた画期的な発見である。「がん幹細胞」は、がん全体の成長を促している特殊な細胞で、「がん幹細胞」を除去することで、がんの再発や悪化を防御できる可能性が極めて高い。

研究では、マウスに腸がんと皮膚がん、脳腫瘍の一種を発症させ、がん細胞の成長過程を分析した。その結果、がん細胞の一部に、がん全体の成長を促している特殊な細胞が存在していることを確認。この細胞こそが、体のいろいろながん細胞の元になる「がん幹細胞」であり、このがん幹細胞を取り除かないと、がんの進行や再発は防げないことが証明されたのだ。

今後は、がん幹細胞を標的とした新たな治療法や抗がん剤新薬の開発が多いに期待され、がん増殖やがん再発の治療が飛躍的に進展する可能性を秘めている。

研究は、ベルギーのブリュッセル自由大学、米国テキサス大学のLuis Parada研究チーム、オランダ・ユトレヒトのHubrecht研究所の合同チームが実施し、成果は、科学雑誌「ネイチャー」と「サイエンス」に同時に掲載された。

2012年8月3日金曜日

40倍の強さでがん細胞に効く抗がん剤新薬

既存の抗がん剤に比べて4倍から40倍の強さでがん細胞に働く新薬が実証された。

抗がん剤新薬「Phenanthriplatin」は、 60種類のがんに対して実証実験がなされ、効果が確認れたのだ。

実験を実施したのは、米国 マサチューセッツ工科大学。抗がん剤「Phenanthriplatin」は、プラチナをベースにした新薬だ。

プラチナをベースにした抗がん剤は、プラチナ製剤と呼ばれ、遺伝子DNAに直接作用するためとても強力な抗がん剤として幅広く使われている。プラチナ製剤として実用化されている抗がん剤としては、シスプラチンが最も有名だ。シスプラチンは、米国・カナダで1978年に承認されて以降、1983年にも日本で承認、プラチナを利用した抗がん剤化学療法として最もよく使用されてきた抗がん剤だ。シスプラチンは、精巣腫瘍に最も効果があるとされているが、それ以外にも、リンパ腫、卵巣がんや肺がん胃がん、食道がん、膀胱がん、前立腺がんなど多くのがんの治療にも用いられている。

今回開発された新薬「Phenanthriplatin」が、既存のシスプラチンよりも効果が高い理由は、シスプラチンよりもがん細胞内に入り易いことに加え、がん細胞がDNAからRNAに転換する遺伝子発現を抑制する効能があるからだ。

また、シスプラチンには、多くの抗がん剤に発生する副作用である骨髄抑制(血球や血小板の生産不良)はそれほど強く発現しないが、中毒性副作用で腎臓が損傷するリスクや、使用を続けることで腫瘍が薬に対して抵抗力をもってしまうという弊害があった。

新薬「Phenanthriplatin」は、これらの問題点が改善されている見通しだ。

つまり「Phenanthriplatin」は、現在に抗がん剤として一般的に使われているプラチナ製剤のシスプラチンを代替し、より効果的にがん細胞を攻撃し、副作用の軽減された新薬となる可能性が高い。さらに、同じプラチナをベースにした抗がん剤を投与しつづけることで腫瘍が薬に抵抗力をもってしまうことを防げぐ効能も期待されている。

2012年8月2日木曜日

すい臓がんに抗がん剤の新治療法

がん細胞を狙って抗がん剤を届けるすい臓がんの治療法が開発された。

すい臓がんの細胞がフコースを活発に取り込む性質であることを利用し、フコース(糖)を利用することで、抗がん剤を健康な細胞ではなく、すい臓がんだけに吸収させるのだ。抗がん剤を包むリポソームという脂質膜にフコースを結合させて抗がん剤を投与することで、 がん細胞へ効果的に薬を運ぶことが確認できた。既に、マウスを使った実験で効果を確かめられている。

この新投薬法によって、抗がん剤の副作用を低減し、さらに抗がん効果を最大化できる。

抗がん剤の新投薬法は札幌医科大の研究グループが開発。米オンライン科学誌プロスワンに発表された。