がん治療の効果を「断食」が高める可能性が示唆された。抗がん剤治療を受けている進行がん患者にとっては一考の価値の有る研究結果である。
実験では、メラノーマ=悪性黒色腫、乳がん、神経芽細胞腫を発症しているマウスを2日間断食させた後、化学療法として抗がん剤治療を実施。がんの進行度を、断食をしなかったマウスと比較した。
結果として、断食しなかったマウスと比べ、断食したマウスではがん(腫瘍)の転移率が40%低下もした。さらに、神経芽細胞腫では、断食後に化学療法を受けたマウスでは がんを再発せずに42%が180日間生存したが、断食しなかったマウスではすべて死亡した。
がん治療での断食の有効性を検討する"臨床試験"には時期尚早だが、化学療法の効果が高まる”可能性”が示唆されたと言える。つまり、標準治療で効果が得られない進行がん患者ならば、考慮する価値のある治療方法だ。
実験は、米国 南カリフォルニア大学が実施し、米医学誌「Science Translational Medicine」に発表された。