2012年4月18日水曜日

がんが再発するメカニズムの解明へ

放射線治療後にがんが再発するメカニズムの一端が解明された。

がんは、がん細胞の周囲の血管から酸素の供給を受けることで増殖する。がんが放射線治療後も死なずに再び増殖してしまうのは、血管から少し離れた低酸素環境でも生存できる特定のがん細胞が原因であると断定された。

この特殊な がん細胞は、血管の周囲のがん細胞が放射線で死滅すると、遺伝子が活性化することで血管の方向へ移動することが観察されたのだ。実験では、治療前のがんには17%しか存在しなかった特定がん細胞が、がんの再発時には60%にまで増えていた。この特定がん細胞を阻害剤で移動抑止すると がんは再発しなかったのである。

将来的な新治療法として、この「低酸素がん細胞」に放射線を集中照射する方法などが検討されており、がん再発の防止は実現にまた一歩近づいた。

がん再発メカニズムは、京都大大学院の原田浩講師らの研究グループが解明し、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。

レーザー光線で がん新治療法

レーザー光線で がん細胞を効果的に破壊する「光治療法」が開発中。

光治療法は、がん細胞が42.5度で死滅する性質を利用し、レーザーを浴びると発熱する「光増感剤」を患部に注射してレーザーを照射することでがん細胞を死滅させる新治療法。がん細胞だけを破壊することで、副作用が少ないのが特徴のがん治療法だ。

しかし、従来の光増感剤が水に溶け難いために人体に吸収効率が悪く、治療効果が落ちる問題があった。そこで、亜鉛フタロシアニンの光増感剤を、太さ数十 ナノメートルの極細ナノ構造で製造したところ、水に溶け易く、人体への吸収率も良好にできたのだ。もちろん、新増感剤は光を浴びると発熱する性質も保持しているので、マウス実験ではがん細胞の除去に成功している。

新光増感剤が実用化されればさらに低価格で製造できるため、がんの光治療法の進展が期待されている。

新光増感剤の研究報告は、科学誌『ネイチャー』発行の『NPGアジアマテリアルズ』に掲載された。

がん骨転移の痛みを抑える新薬

がん細胞の転移などで骨が弱くなる症状を抑える医療用医薬品が発売開始された。

薬品は「ランマーク(一般名デノスマブ)」。4週間に1回の皮下注射で、骨を破壊する がん細胞の働きを抑制する。

ランマークはバイオ医薬品の一種である抗体薬。 肺がん乳がんなどが骨に転移した場合や多発性骨髄腫の患者は骨を壊す細胞の働きが活性化し、骨が弱くなって痛みを感じるなどの症状が起きることがある。新薬はこの痛みを抑制できるのだ。

第一三共製薬とアストラゼネカが共同で販売。

2012年4月16日月曜日

肺がん新薬が治験開始へ

核酸抗がん剤を治験へ

副作用が少なく高い治療効果が期待できるがん治療新薬へ期待の高い「核酸医薬品」の新しい製造法が開発された。

核酸医薬品は病気に関連する遺伝子やたんぱく質の構造に合わせて設計、化学合成される。開発されたのは短いRNA(リボ核酸)の合成法で、「RNA干渉」と呼ぶ仕組みで病気の遺伝子を機能しないようにする。合成したRNAはヘアピンのような構造で、1本の鎖状分子を折り畳んだ。従来の製造法では鎖状の分子を多数作り、その中から使えるものを2本選んで絡める工程が必要だった。さらに従来の手法では、目的のRNAを作ることができる割合は15%に満たなかったのに対し、新技術は5倍以上の効率で目的のRNAを製造できるのだ。

また従来のRNAは効果が発揮する前に、体内の消化酵素などに壊されてしまう問題もあったが、改良された。 RNAを補強することで、酵素が働かないようにしたのだ。これによって、病原体から体を守る免疫機構が見つけにくいRNA構造となり、体内での免疫反応による副作用が低減される。

新製造法のRNAはコストも低下し、目的のRNAの製造コストは従来の数十分の1に低減された。

動物実験では、加齢黄斑変性という目の病気でRNAの治療効果が確認された。 肺がんや糖尿病性網膜症の治療薬も、2~3年内には治験が開始される。

2012年4月13日金曜日

天然ダイエット生薬に発がん性物質

台湾で人気の植物薬、高いがん発症率との関連

台湾で人気の生薬・植物薬に発ガン物質が含まれていることが、米科学アカデミー(Proceedings of the National Academy of Sciences, PNAS)に発表された。問題の植物は「ウマノスズクサ」で生薬としての人気が高いことから、台湾の尿管がん症例の半数以上に関連しているとされた。

ウマノスズクサは生薬として重宝され、実は馬兜鈴と呼ばれ、咳止め、気管支拡張、去痰に効能があるとされ、根は青木香、土木香などと呼び、蛇や虫などの解毒剤、打ち身、炎症止め、禿の防止、腹痛止めに効果的とされてきた。近年は天然由来のダイエット食品としての利用も増えてきていた。

しかし、ヒト発がん性物質のアリストロキア酸がウマノスズクサに含まれることが判明してからは、様々な問題が指摘され始めていた。減量ダイエットや関節痛、胃腸障害の緩和に効果があるとされるが、成分としてのアリストロキア酸がヒトのDNAに作用して、特有のがんマーカーを生じさせることから、発がん物質が取り込まれたことを示す兆候が がん抑制遺伝子内に現れることが確認された。

台湾での研究対象となったのは尿管がん患者151人。がん患者の60%にウマノスズクサ含有薬の使用に関連する特有の変異が確認され、特にアリストロキア酸の摂取後に腎皮質には特有の病変が発生し、がん抑制遺伝子TP53には特有の変異の兆候が生じていた。

台湾では全人口の約3分の1がアリストロキア酸を摂取しており、台湾の尿管がんや腎臓がんの発症率は、アリストロキア酸の摂取が台湾ほど一般的ではない欧米諸国の約4倍だった。

ウマノスズクサに関しては、 1956年にバルカン半島諸国でウマノスズクサ属の種子をパンに混ぜ込む習慣が原因でアリストロキア酸による腎障害の発生が指摘されてた。また、1990年代にはベルギーでアリストロキア酸を含むダイエット減量薬を使用した女性達が、突然に末期状態の腎不全になったと報告された例がある。 2001年には米国でアリストロキア酸を含む植物性製品を使用した2人が深刻な腎障害を発症した。米食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)では既に警告を発している。

ウマノスズクサが、腎臓がん、尿管がんの原因となっていることは、もはや疑いようの無い事実と言える。「天然成分、自然由来の生薬なら安全」と思い込む人間は多いが、天然由来、自然物の方が、危険な物質、成分が多いことを再認識することが必要だろう。

2012年4月12日木曜日

最新鋭がん治療放射線装置

都立駒込病院、がん治療を拡充 最新の放射線設備を導入

最新鋭の放射線治療装置を新たに4台導入したのは、東京都立駒込病院(文京区)。最新の治療機器でがん患者の治療に寄与することが大きく期待される。

導入された最新治療機器は、脳腫瘍などの治療や肺がんにも適用が進んでいる「サイバーナイフ」や、「トモセラピー」「TM2000(ヴェロ)」と呼ばれる種類の放射線治療装置と、手術中に手術室で放射線治療できる設備一式。それぞれ専用の治療室が設置され、技師や専門家も増員される。

3種類の装置は人体の正常な細胞に照射する放射線を減らすことで副作用を最小化しつつ、、がん組織に集中して大量の放射線を当てることができる。がん患者の体内の様々な位置にあり複雑な形状をしているがん細胞に放射線を照射し、 がんの根治を目指す最新治療機器なのだ。さらに、がん再発防止のための術後照射や抗がん剤と組み合わせた治療などにも活用できる。

がん患者の手術時の負担が軽くなるだけでなく、追加治療や痛み止め、抗がん剤の量を減らせる。さらには、がん放射線治療につき物と認識されてきた副作用のリスクを大幅に減らせるうえ、医療費も軽減できることがメリット。

これだけの最新鋭の治療装置を3種類とも揃えた病院は全国でも稀で、東京都では、がんやエイズ診療の中核病院と位置付け、都民だけでなく全国から がん患者の受け入れる意向だ。

東京都は都立病院の再編と施設の老朽化に対応し、 2008年から民間資金を活用して駒込病院の大規模な改修工事を実施した。改装後は手術室が9室から15室に増え、内視鏡検査のための内視鏡室は7室から10室に増やされた。通院治療用の病床数も26床から50床に増床、病床数は801床、1日当たり1300人の外来患者が見込まれている。

がん治療は最新機器の病院で受けることが副作用は最小化、治療効果は最大化できる。

海藻食べ過ぎでがんリスク増

海藻食べ過ぎでがんリスク増

海藻を毎日食べることでがんリスクが高まることが研究で実証された。国立環境研究所と国立がん研究センターの研究チームが調査結果を纏め欧州のがん専門誌に発表したのだ。

研究調査では、1990~2007年の20年弱の期間に渡り、 10府県の40~69歳の女性約5万人を対象に追跡調査した。調査開始後に甲状腺がんになった閉経後の女性は111人で、海藻をほぼ毎日食べる女性は、週2回以下の女性に比べて2.4倍がんリスクが高いことが判明した。さらに、甲状腺がんの一種である乳頭がんでは3.8倍の差があった。 

閉経後の女性が海藻を食べ過ぎると、甲状腺がんのリスクが高まる可能性があることが明白になったのだ。

海藻に含まれるヨウ素の過剰摂取ががんリスク高の原因であると分析されている。ヨウ素自体は必須栄養素の一つであり、ヨウ素が不足すると皮膚の乾燥やひび割れ・しゃがれた声、皮膚の浮腫、精神異常などの症状が懸念される。

あくまでヨウ素の"過剰摂取"が、がんリスクだという認識が大事だ。