2012年1月30日月曜日

肺がんの5年生存率

肺がんの5年生存率、ぴたりと当てる新たな検査法


肺がん患者の生存率予測に関する米国と中国の臨床試験で、遺伝子に基づいて予測する新たな検査法のほうが、従来の方法よりも予測精度が高かったとする論文が、27日の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に発表された。特に、喫煙によって引き起こされる非扁平上皮非小細胞肺がんの予測に優れているという。

肺がんはがんの中で致死率が最も高く、年間死者数140万人は乳がん、大腸がん、前立腺がんの死者数を合わせた数をも上回る。
 現在、早期肺がんはがんの大きさ、場所、顕微鏡データで分類される。米国では、がん患者のうち最も初期のステージで検出される割合は30%程度に過ぎず、ステージ1で検出された患者の35~45%が5年以内に死亡している。
■アルゴリズムを作成

 今回米国で臨床試験が行われた生存率予測法は、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California in San Francisco)が考案し、カリフォルニア州のピンポイント・ジェノミクス(Pinpoint Genomics)社が開発した。

 まず、同大病院に入院している肺がん患者361人で、がん組織内の遺伝子14個の活動を測定し、これを基に、死亡リスクが「低」「中」「高」のいずれなのかを計算するためのアルゴリズムを作成した。なお、361人は全員、非扁平上皮非小細胞肺がんの手術を受けていた。
 次に、同じ種類の肺がんのステージ1の患者433人にこのアルゴリズムを適用し、5年間生存率を追跡したところ、死亡リスクの「低」「中」「高」が正確に予測できていた。
 同大のDavid Jablons教授は、「早期がんが検出できないという従来の問題は、この予測方法で解決できるだろう。毎年数十万人の患者が延命できるようになるかもしれない」と述べた。
 なお、中国で行われた同様の研究でも、同じ結果が確認されているという。


2012年01月29日 AFP

がん転移を抑制するアレルギー利用の新治療法

アレルギー起こしがん抑制 「もろ刃の剣」細胞作用 富山大グループが発見

肺に多く存在する細胞が、アレルギー発症の原因となるタンパク質の一種を恒常的に生産する一方、がんの転移を抑える働きをすることを富山大大学院医学薬学研究部などの研究グループがマウスによる実験で突き止め、30日までに米免疫学会の医学誌に掲載された。人体にとって「もろ刃の剣」となるこの細胞のメカニズムを解明、調整できれば「アレルギーだけでなく、がん治療につなげることが期待できる」(高津聖志・富山大客員教授)としている。


 研究グループはマウスを使って調べた結果、免疫にかかわるリンパ球の一種「T細胞」とは別に、好酸球を活性化させるタンパク質の一種「インターロイキン5(IL5)」をより多く生み出す「原始IL5産生細胞」が肺や腸に存在することを確認。必要に応じてこの細胞の活動を抑える方法が見つかれば、アレルギー治療法の開発にもつながるという。


2012年1月30日 産経ニュース 

2012年1月27日金曜日

がんに運動が有効な理由

運動が健康的である理由の手がかり得る-マウス研究

運動による健康上のベネフィット(便益)の一部を誘発する筋肉細胞内の蛋白(たんぱく)が、マウスを用いた新しい研究で同定された。この蛋白は、ギリシャのメッセンジャーの女神、イーリスにちなみ“イリシン(irisin)”として知られ、化学伝達物質として作用し、最終的に糖尿病や肥満、おそらく癌(がん)の新たな治療法の開発に使用される可能性がある。

米ダナファーバー癌研究所/ハーバード大学医学部(ボストン)細胞生物学教授のBruce Spiegelman氏は、「フィールドでは、運動が体内の様々な組織に‘話しかける’という印象があったが、問題はどのように話しかけるかということであった」と述べている。同氏らによれば、運動によりイリシンレベルは上昇するという。

米国立衛生研究所(NIH)の資金援助を受けて実施された今回の研究では、イリシンが、余分なカロリーを蓄えて肥満の原因となる皮下の白色脂肪の沈着に“強い影響”を及ぼすことが判明。肥満で糖尿病前症状態の運動をしないマウスにイリシンを注射すると、この蛋白は白色脂肪を、運動のみの場合よりもカロリーを燃焼させる“良い”褐色脂肪に変える遺伝子を活性化した。ただし、イリシンは筋肉を作らないため運動に代わるものではないという。

また、イリシンは高脂肪食を与えたマウスの耐糖能を改善し、10日間の投与後、マウスの血糖コントロールとインスリンレベルは改善し、糖尿病の発症が予防され、過剰な体重の減少に有用であった。同氏らは、イリシンをベースとした薬剤について2年以内にヒトを対象とした臨床試験を行う準備が整う可能性があるとしている。研究結果は、英科学誌「Nature(ネイチャー)」オンライン版に1月11日掲載された。

2012年1月11日 HealthDay News