がん細胞にシートを貼り付けることでがんを治療する新治療法に効果が確認された。
新しいがん治療法は、がん細胞に新開発の特殊なシートを貼り付けることで、手術後でも、体外からシートに磁場をかけ、シートの発熱とシートから出る抗がん剤のダブルの治療効果が得られる。
がん細胞は熱に弱いため、がん患部を45度程度に温める「温熱療法」が効果があることは広く知られている。
新開発のがん治療シートは、磁気を帯びた粒子と、抗がん剤を混ぜた材料で作られている。シートは磁場をかけると発熱して45度程度になり、さらに熱に反応したシートから抗がん剤が放出される仕組みなのだ。
実験では、皮膚がんの培養細胞にシートを適用したところ、1日に5分間磁場をかけて発熱させるだけで、2日後にがん細胞は19%に減った。 抗がん剤だけだと26%、発熱だけだと69%にしか減少しないことに比べて、有意に効果が確認されたのだ。
がん治療シートを新開発したのは、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)。
当面の治療対象は、食道がんや子宮頸がんでがん細胞が表面を覆う症例=扁平上皮がんへの効果的な適用が期待されている。