がん治療向けの新しいDNAチップが2013年発売される予定。
鋼材加工で培った表面処理技術を転用することで、 がんの有無を調べる反応光が従来品より10倍以上鮮明に映る新しいDNA検査技術が開発された。新検査法では抗がん剤の副作用の有無なども高精度に調べられるだけでなく、チップサイズが小型化されて臨床現場で使い易くなっている。
開発した東洋鋼鈑では、 2013年を目標にがんの診断や抗がん剤の有効性・副作用の確認などに使うDNAチップ事業に参入する予定。
転移癌(がん)、再発癌(がん)、末期癌(がん)、全ての癌(がん)には生還者がいる。何を食べ、何を飲み、どう過ごして、癌(がん)を克服したのか。癌(がん)治療の最新情報を日々発信!!
慢性肝炎や肝硬変に最善の治療を施しても肝臓がんを発症する症例は多い。
肝臓以外の他の臓器は普通、がんの進行度により治療の方法が決まるが、肝臓がんは進行度だけでは治療法が決められない。肝臓が元気な状態であれば、大きながんでも手術で切除できる。しかし、肝臓がん患者の多くが、がん患部だけでなく肝臓全体が弱っていることが多く、その場合は手術が困難となる。肝臓全体の状態が輪悪い場合には、がんが非常に小さくとも治療ができないこともあるのだ。
肝臓がんを完全に治す=根治するには、手術で切除する以外に、ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術という治療法が主流になりつつある。
ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術は、いわゆる切らずに治す手術の一種で、 がん患部に針を刺してがん細胞を殺す経皮的な治療方法。肝臓に約1.5ミリ太さの電極針を刺し、がん細胞を100度に熱して死滅させる。ラジオ波焼灼術は、肝臓全体の状態が悪くても治療が可能だが、大きさが3センチを超える がんの治療は難しい。
手術もラジオ波焼灼術が行えない場合には、塞栓(そくせん)療法、抗がん剤による化学療法が選択される。塞栓療法とは、がん患部に栄養を送っている肝臓の動脈を閉じることで がん細胞への栄養を遮断し、兵糧攻めでがんを壊死させる治療法。
さらに先進医療としては、放射線の一種の重粒子線を用いてがん細胞をピンポイントに死滅させる治療が注目を集めている。重粒子線がん治療は、副作用の少なく、治療効果の高い近未来の治療法だが、導入施設がまだ少なく、治療費が約300万円と高額であることが問題だ。
近年の肝臓がんの治療成績は大きく改善されている。がんが早期に診断されるようになり、抗ウイルス薬など肝炎・肝硬変の治療効果が向上したことが貢献しているのだ。さらに、新しい治療薬の開発が相次いでいることで、肝炎が撲滅できれば肝臓がんの撲滅も近いと見られている。
転移乳がんの抗がん剤新薬の治験が最終段階で良好な治療結果が報告された。
乳がんの抗がん剤新薬は、trastuzumab emtansine(T-DM1)。 T-DM1は、分子標的薬のトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)と細胞毒性薬のemtansine (DM1)から成る複合体で、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受ける前に必要な最終段階(第3相試験)にある。
T-DM1を使用すると、標準療法よりも生存期間が改善されるとの研究報告が発表されたのだ。
米デューク癌研究所が実施さいた治験は、 1,000人近くの乳がん患者に下記のいずれかによる治療を行った。
T-DM1:ラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)と細胞毒性薬のemtansine (DM1)から成る複合体の新薬
XL:カペシタビン(商品名:ゼローダ)とラパチニブ(商品名:タイケルブ)
HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)陽性乳癌(がん)患者を治療するためにデザインされた米シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会で発表された。
治験開始の2年後、T-DM1群では65.4%、XL群では47.5%が生存していた。無増悪生存期間(PFS)中央値はT-DM1群が9.6カ月、XL群が6.4カ月であり、 T-DM1は、HER2過剰発現が確認された転移乳癌に対して有効な承認済みの治療法よりも有意に優れていると結論された。
なお、血小板数減少などいくつかの副作用はT-DM1群に多くみられたが、 XL群の方が、下痢,胃のむかつきおよび発赤、手掌および足裏の腫張および疼痛の発現率が高かった。
乳がん新薬T-DM1は、用量制限が必要な毒性がほぼ皆無で、転移乳癌患者にとっては画期的な抗がん剤新薬として期待されている。
声帯がんを内視鏡下手術で声帯を切除すると、強い音声障害が残ることが多い。
しかし、声帯の上側に位置する「仮声帯(かせいたい)」を用いた新たな再生法により、仮声帯が声帯の代わりになる治療法もある。また、頬の脂肪を用いた注入による声帯再生を行うことも可能だ。
早期の声帯がんは、他のがんと同様に症状が軽微で、診断も難しいことが問題だった。そこで開発されたのが、「ストロボスコープ」による声帯がん診断法。「ストロボスコープ」では、瞬間ごとに発光する光源を利用して声帯の動きを見ることができる。1秒間に100~1000回の超高速震動の声帯が、スローモーションのようにゆっくりと映し出され、その動きの変化によって約9割に対して声帯がんか否かの診断が容易に可能になった。
さらに特殊な光源を用いた「NBI」という診断法を取り入れると、組織や血管が鮮明に浮かび上がるために声帯がんの発見は確実となる。。ストロボスコープとNBIを組み合わせることで、前がん病変などの小さながん(腫瘍)を早期がんの状態で発見するべく、研究が進められている。
がん細胞だけを死滅させる仕組みの一端が解明された。これによって副作用の少ない新薬の開発が期待される。
愛知県がんセンター研究所が、人間などの哺乳類の細胞にある突起物「一次線毛」の働きを利用し、がん細胞だけを死滅させる仕組みを解明したのだ。
細胞の一次線毛は細胞に一つずつ存在しており、細胞分裂を起こす時は隠れている。アンテナを伸ばすように一次線毛が細胞から突き出ると、細胞分裂が停止するのだ。しかし、この一次線毛はがん細胞には存在せず、がん治療への応用が期待されていた。
研究グループでは人間の子宮頸(けい)がんの細胞と正常な網膜細胞をそれぞれ培養し、一次線毛の働きを抑え、細胞分裂するのに必要な酵素「オーロラA」をそれぞれの細胞から取り除き、2、3日置いて観察した。その結果、がん細胞の方は中途半端に細胞分裂が進み、異常な状態で停止した上、自浄作用が働き死滅することが確認できた。一方、正常な細胞は一次線毛が飛び出し、正常な状態を保ったまま細胞分裂が停止したという。
研究成果は米科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」に掲載。
肺がん治療の新薬は「ザーコリ(一般名クリゾチニブ)」は、 がんを増殖させる未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子の働きを阻害する。つまり、ザーコリは、体内の特定の分子を狙い打ちする「分子標的薬」の一種で、 肺がん新薬として、効果があるかどうかを治療前に確認せねばならない。
金沢大附属病院がん高度先進治療センターが、この新薬は特定の肺がんにしか効果がない新薬ザーコリため、効くかどうかを細胞検査で診断できる方法を確立した。細胞だけで遺伝子を検査できる新手法では、 がん細胞(腫瘍)の塊がなくても、正確にALK融合遺伝子の有無を判別できる。
肺がんの多くを占める「非小細胞肺がん」の患者のうち、ALK融合遺伝子があるのは約3%。このALK遺伝子を持つ肺がん患者にはザーコリは著しい効果を示すのだ。ザーコリによる治療で9割以上でがん(腫瘍)が縮小したという報告もあり、「標的」であるALK遺伝子を持つ肺がん患者に対しては、非常に高い効果があるのだ。
しかし、ザーコリはALK融合遺伝子の無い患者には効果が無く、間質性肺炎や吐き気などの副作用に苦しむ負担でしかない。そのため、「標的」の有無を調べる正確な診断が必要となっていた。従来の検査法は腫瘍の塊(組織)が必要で、 肺がん患者では腫瘍の位置が分かりにくいために、検査さえ困難な患者が多かったのだ。
「分子標的薬」は治療前に型を調べる検査が不可欠だが、従来はがん細胞の塊を採取する必要があり、検査が困難な患者が多かった。新診断法が開発されたことで、特定の肺がんに効果の高い新薬の活用が容易になる。
治療効果が見込まれる患者を選んで薬を投与する『オーダーメード医療』が進むことで、不要な副作用に苦しむことなく治療効果の高い抗がん剤だけでがんが治せるのだ。